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18 2017

チェルノブイリ30年の教訓 事故、被害を語るとき 場所や時間で大きな差が ロシア研究者・尾松亮

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170217モスクワ

事故、被害を語るとき

「チェルノブイリでは、子どもたちが100ミリシーベルトを超えて甲状腺被ばくし、甲状腺がんが増えた」こんな風に言われることがある。全くの間違いとはいえないが、この「チェルノブイリでは」には注意が必要だ。
「チェルノブイリ」はウクライナ・キエフ州北部の市の名前。1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故直後、このまちも強制避難の対象になった。ちなみに、チェルノブイリ原発はチェルノブイリ市ではなくプリピャチというまちに隣接している。
もちろん「チェルノブイリでは」というとき、この「チェルノブイリ市」だけのことを問題にしているのではない。ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの3カ国(さらには欧州)に広がる広大な地域が「チェルノブイリ原発事故」の影響を受けた。
「チェルノブイリ被災地では」という意味で言っているのだろう。だとすれば原発から数百キロ、または1000キロ以上離れた場所にも「チェルノブイリ被災地」はある。事故後、のちにチェルノブイリ法で定められる基準を超える汚染が、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの3カ国で14万平方キロ以上に広がった。立ち入り禁止区域もあれば、比較的汚染度が低く、避難対象ではない地域もある。


場所や時間で大きな差が

「チェルノブイリでは」と言うとき、どの地域のことを指しているのか。地域によって汚染の程度も、被ばく量も、実施された対策の質も異なる。
「チェルノブイリでは除染は諦めた」と言うとき、それは「チェルノブイリ原発30キロ圏内や住民が移住し、無人になった地域では」ということだ。
「チェルノブイリでは子どもたちが100ミリシーベルト以上被ばくした」と言うとき、「高度汚染地域の住民や原発周辺からの避難者にはそのようなケースもある」ということだ。
例えば、チェルノブイリ原発から約500キロのロシア・カルーガ州南部では、児童の甲状腺被ばく量は数ミリシーベルトから数十ミリシーベルトと推定されている(2011年版ロシア政府報告書)。そのカルーガ州でも、甲状腺がんは増えたと記録されている。
また事故から30年の歴史の中で「いつごろ」のことを言っているのかも重要だ。「子どもの甲状腺がんが増えた」と言われる。実際は、事故当時、子供だった人々が、10年以上たって大人になってから発症したケースが多い。
「チェルノブイリでは」が出てきたら、用心して読んでほしい。

(聖教新聞2017年1月26(木)付 チェルノブイリ30年の教訓 事故、被害を語るとき 場所や時間で大きな差が ロシア研究者・尾松亮)


本当にありがとうございます。
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