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07 2017

チェルノブイリ30年の教訓 避難者へのいじめ 被災者の権利への認識が欠如 ロシア研究者・尾松亮

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170307キエフ

避難者へのいじめ

「やーい、チェルノブイリ人」とからかわれた少年が同級生にとびかかって組み伏せる。
これは、日本でも公開された仏・ウクライナなど4カ国合作の映画『故郷よ』(2011年製作)のワンシーンだ。
チェルノブイリ原発事故後、新設されたスラブチチという町が舞台である。少年は原発に隣接するプリピャチ市から非難し、この町に住んでいる設定だ。
「うそばっかりの映画。あんないじめ、、この町で起こりっこない」
スラブチチ市役所に勤める、やはりプリピャチ出身のタチアナさんは言う。
「そもそも避難者のための町だし、収束作業員の家族も多い。みんな多かれ少なかれ『チェルノブイリ人』なのだから」
でも、ウクライナの首都キエフでは、避難した子供たちが「いじめ」を受けたという話は多い。
放射能への恐れから避難者が嫌がらせを受けたともいわれる。しかし、問題の根っこは別のところにある。
キエフはソ連第2の共和国ウクライナの首都で、住むのを希望する人は多かった。しかし住宅難で、キエフ住民でも住宅を手に入れるには長い順番待ちが必要であった。それが突然、数万人の避難者がなだれ込み、新築の住宅に順番も待たずに優先的に入居したのだ。
「何の根拠があって特別扱いされるのか」と地元住民から白い目で見られたと、プリピャチからの避難者タマーラさんは語っている。


被災者の権利への認識が欠如

当初は正式に住民登録もできず、「よそ者」の立場を常に感じさせられた。やがて避難者もキエフに登録し、チェルノブイリ法で「立ち入り禁止ゾーンからの避難者」として補償を受ける権利が確立された。
法律ができたことで「よそ者」ではなくなった。特別扱いされる「根拠」もはっきりした。
法律で、いじめややっかみを全てなくすことはできないが、被災者が不当に肩身の狭い思いをすることは防げる。
「みんな多かれ少なかれチェルノブイリ人なのだから」――お互いの苦難や被災者の権利を知るスラブチチの人々は、そんないじめはしない。
「放射能が染る」と嫌がらせをする人々も「放射能が感染しない」ことは知っている。「感染」を恐れるなら、いじめをして接触したりしない。
足りないのは知識ではない。被災者が持つ当然の権利についての認識。それを侵害してはいけないという当たり前の意識だ。

(聖教新聞2017年2月23(木)付 チェルノブイリ30年の教訓 避難者へのいじめ 被災者の権利への認識が欠如 ロシア研究者・尾松亮)

ありがとうございます。
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