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21 2017

震災・原発避難者の現在 「よりそいホットライン」から見えるもの

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170621よりそいホットライン女性

「自尊心奪われ自ら責める相談者」という内容で「よりそいホットライン」に取り組まれている遠藤智子さんのお話が、聖教新聞に掲載されました。
私自身、「社会で実際に起きている被害、それを共有することで、社会の認識は変わる」というコメントに共感し、知っておくべきだと思いましたので共有させていただきます。


自尊心奪われ自ら責める相談者 地域で生きられる支援の継続を 遠藤智子事務局長

 東日本大震災以降、全国で電話相談事業に取り組む「よりそいホットライン」。1年間に寄せられる電話相談は、つながったものだけでも25万件に上る。また、開設後、時間の経過とともに目立ってきているのが広域避難者の孤立の問題だ。「よりそいホットライン」の遠藤智子事務局長に、ホットラインから見える避難者の現在について聞いた。

広域専門ラインを増設

 「よりそいホットライン」は、被災3県の電話相談事業としてスタートしましたが、当初、広域避難者の専門窓口は開設されていませんでした。しかし、平成24年度の末頃から、放射能汚染の影響で広域に避難する人々の電話相談が次第に増加していたこともあり、各地の避難者団体と連携し、広域避難専門ラインを25年度に増設しました。
 専門ラインを開設し、まず驚いたことは、相談を寄せる方の世代が、他に比べ若いことでした。一般にホットラインに相談を寄せられるのは、40、50代で疾病や障がいがあり、対人関係に困難を感じている方が多数を占めるのですが、広域避難専門ラインでは、働き盛りの30代の方々が正規の職に就けず困窮する状況を訴えていることが分かりました。将来の帰還を考え、正規の職に就けない事情もありますが、社会的に不安定な状況が続くことで、今後、疾病や障がい、貧困といった問題が相談者の中に増えていくのではないかと危惧されます。

社会的排除から孤立へ

 相談を寄せられる広域避難者の心理的状況は、DV被害者やセクシャルマイノリティーに対する偏見にさらされる当事者のそれと酷似していると私は感じています。
 相談者の多くは、放射能汚染の被害を恐れ、自らが必要だと考え避難しました。しかし、それを周りに理解してもらえず、家族や地域の人々から責められ、それぞれが孤立した状態にあるのです。自尊心を奪われ、自らを責める――そうした社会的排除の状態に置かれていると考えられます。
 また、相談の中でよく聞かれるものに「移住することになっても、福島県民でいたい」という声があります。そこには「帰りたいけれど、帰れない」という思いが込められています。彼らは決して好きで福島を離れたわけではありません。原発事故が原因で避難を余儀なくされたのです。
 しかし、このまま避難指示が解除されれば、被災者でも、避難者でもなくなり、避難先に移住すれば福島県民でなくなってしまう。相談者一人一人が、そうしたアイデンティティーの問題に揺さぶられているのが現状ではないかと思います。
 さらに深刻な状況にあるのは、経済的な面からも厳しい状況に置かれる女性の避難者です。相談表の集計からは自殺念慮を訴える女性の数が増加し、「自殺未遂をした」という人も増える現状があります。震災からの強い心理的傷害を負ったまま、適切なケアを受けることなく現在までに至ったことも理由の一つではないでしょうか。
 「よりそいホットライン」では、さまざまな課題が原因で生活に困窮する人々の相談を受け、共に考え、経過に寄り添い、相談者が地域社会で生活再建することをサポートしてきました。そのために、フリーダイヤルの電話相談を通じて信頼感を築き、相談者をコーディネーターにつなぐのに約半年。さらに、コーディネーターが電話や直接会って話すなどの直接支援を行い、社会復帰までに約半年をかけ、準備していきます。約半年というのは、あくまでも平均的な数字で、人によっては1年、それ以上かかることもあります。
 社会的排除を受け、孤立状況に置かれた人々の孤独感を癒やすのは決して簡単ではありません。例えば、ようやく面談の約束ができても、相談者がその通りに来てくれるとは限らないのです。「来られない理由がある」ことを受け止め、約束を繰り返し、「この人は見捨てない」と信頼してもらえなければ、次のステージには進めません。
 広域避難専門ラインに寄せられる相談者の多くも孤立状況に置かれていますが、そうした相談者が再び人を信じ、地域社会の中で生きられる支援を継続すること、それが「よりそいホットライン」が今、力を入れて取り組んでいることです。

背後の問題を明らかに

 一方、相談業務から明らかになる被害の実像を可視化することも大切な責務だと考えています。
 社会で実際に起きている被害、それを共有することで、社会の認識は変わります。問題は、被害が起きていることを人々が知らないことなのです。昨今のAV出演強要被害も、多くの被害者がいたにもかかわらず、置き去りにされてきました。しかし、被害が明らかになると、社会の認識も変わり、一気に対策が講じられるようになりました。
 被害全体を海に浮かぶ氷山に例えれば、明らかにすべきことは、水面下に隠れ、私たちが目をそらし見ようとしない被害の実像であり、その背後にある社会問題、誤った価値観・偏見ではないかと思います。
 今春、多くの避難区域で避難指示が解除されましたが、帰還か移住か、いずれかを迫られる避難者には継続して見守る支援が必要です。広域避難専門ラインに一層力を注いでいきたいと考えています。
 また、広域避難専門ラインを開設した初年度から、「よりそいホットライン」は阪神・淡路大震災の被災者からの電話相談も受けました。昨年の熊本地震では、1カ月に3000件の電話がかかっています。頻発する災害、その長い復興の過程の中で、「よりそいホットライン」の必要性が高まっていることを感じています。

 えんどう・ともこ 1999年から全国女性シェルターネットに参加。2003年から事務局長としてDV法の改正に取り組む。10年、「パープルダイヤル(DV/性暴力のホットライン)」に参加。11年10月より現職。(一社)社会的包摂サポートセンター事務局長、(一社)若草プロジェクト理事等を兼任。著書に『女性たちが変えたDV法』『下層化する女性たち』(編著)などがある。

(聖教新聞 2017年5月11日(木)付 震災・原発避難者の現在 「よりそいホットライン」から見えるもの)

以上です。
ネット社会が益々発達してある現在、いろいろなことが浮き彫りになっています。臭いものにはふたを閉じ、知らないままにするのではなく、ありのまま、明らかに見て自ら「Yes」「Np」の意思表示をすることは、現代の社会に大きな影響を与えゆくものだと、とても強く感じています。

ありがとうございます。
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よりそいホットライン 遠藤智子 DV法 震災

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