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題名 富の未来 上下 P376
著者 アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー 山岡洋一 訳 講談社
ボリュームある書であった。
ここでいう富は、単なる金銭や物の所有や経済ということではない。見えざる富、いわゆる幸福、価値感という観点で総合的な、多角的な視野から独自的な展開を進め、読者をはっと気付かせてくれる。読み終わった後になんともいえぬ、生きるということ、この世の中の仕組みとはなんだろうか、ということを考えさせる。
まとめるのは非常に難しいので、気になったポイント、私自身が感じた部分を紹介します。
◆ 新たな富の体制では、時間との関係で不規則性が強まっているのである。その結果、工業時代に作られた牢獄のような硬直性と規則性から個人が解放されている。だが同時に予測不可能性が高まり、人間関係と富の創出を調整する方法、仕事を進めていく方法を、根本から変えなければならなくなっている。
◆ いまでは、コンピューターの能力が高まり続け、人類はデータや情報、知識を過去に例のないペースで生み出し、蓄積するようになった。それに対応して、人類は過去数十年に、65億人の脳に加えて、巨大な外部頭脳を作り上げてきた。この外部頭脳は信じがたい速度で拡大している。インターネットの検索エンジンは検索の条件を細かく指定できるようようになり、様々な方法で情報内容を組み合わせ、操作できるようになってきた。
◆ 富と富の創出が中国、インドを中心とする旧「第三世界」に大規模に移動している。
◆ 個人の富も国の富もかつてないほど、拡大する世界の知識基盤に依存するようになっているのである
◆ 目に見えない生産消費経済で、子供を亡くした友人を慰める。ホームレスの子供のために玩具を集める。ゴミを片付け、リサイクル用に選り分け、近所の子供を車で運動場に連れて行き、教会の合唱隊を組織するなど、報酬を受けない無数の活動を自宅や地域社会で行う。こうした活動の多くは、活動家で評論家のヘイゼル・ヘンダーソンがいう「社会の結合を強める」性格を持っている。報酬のない経済での協力も、報酬のある経済での競争も、どちらも同じように価値が高く、価値を生み出している。
◆ いつの日か、SFのように人間が働かなくても経済が自動的に機能するようになるが、不老不死の夢が達成されれば、子育ては経済にとって不要になるだろう。それまでの間、経済はもっと深い水準で、数十億人の親が行う報酬のない生産消費活動に決定的に依存している。
◆ 経営者は、若者が十分な教育を受けていないとたえずこぼしている。混乱した自己破滅型の価値観、動機付けの不足、対人関係のスキルの貧弱さ、将来に関する不適切なイメージなどである。これらの点に問題があれば、スキルの向上が妨げられる。社会全体で子育てが失敗したとき、金銭経済の「生産性」はどれほど失われるだろうか。
◆ ゲーリー・ベッカー「いまでは、働いていない時間の方が、働いている時間よりも経済的厚生に重要かもしれない。だが経済学者が働いている時間に向ける関心は、働いていない時間に向ける関心とは比較にならないほど大きい」
◆ 通常の経済学には巨大な穴が開いていることになり、この点で、一流のエコノミストや経済学者すら予想の実績がきわめて悪い理由を一部説明できる。
◆ 食事を変えたり、喫煙や飲酒を止めたり、運動をしたりする人は多い。その結果、健康状態が良くなったとき、そのうち医者の助言が何処まで寄与し、本人の努力がどこまで寄与したのだろうか。いいかえれば、医療の産出のうち、生産者が生み出した部分はどれだけあり、生産消費者が生み出した部分はどれだけあるのだろうか。そして、経済専門家が一方だけを考慮し、他方を考慮しないのは何故か。
◆ したがって経済専門家にとって、非金銭経済を重要性が低いものだと片付けるのではなく、金銭経済と非金銭経済が互いに強化しあい、関連しあって富を創出し、健康を維持する全体的な体制を形成していく道筋のうち、とくに重要な部分を組織的に調査すべき時期がきている。
◆ 一方に金銭経済があり、他方に非金銭経済がある。この二つがあってこそ、現在の富の体制は機能しているのである。将来を計画しようとするのは誰でも、この富の体制の全体像を理解しなければならない。
◆ 子育て、健康と医療、DIY、起業、新しいニーズの発見、新製品の開発、フリーウェアの作成、知識経済の基礎になる大量の知識の入手と整理など、さまざまな形で、非金銭経済は金銭経済に寄与しているのだから。
◆ 非金銭経済での活動が金銭経済に与える影響は、ますます大きくなっていく。生産消費者は功績を認められていないが、今後の経済に貢献する英雄なのである。
◆ ロッキー・マウンテン研究所のエイモリ・ロビンスとハンター・ロビンスは「ソフト・エネルギー」経済という将来像を長年にわたって描いてきた。エイモリ・ロビンスはこう論じる「燃料電池で動く超軽量の車は、20~25キロワットの移動型発電所であり、運転されているのは一日のうち4%の時間にすぎず、残りの96%は駐車している。だったら、同じ建物で働く人たちに、燃料電池車を貸し出さない理由はない」
◆ いずれ、はるかに小さく、安く、用途の広い機械(個人用製造機)が開発され、インクではなく、各種の粉末や科学物質が入ったカードリッジを使うようになる。そうなれば、基本的には誰でもインターネットからファイルを入手して、「デスクトップ工場」を動かせるようになる。3Dシステムズのマービン・ラジェリーは語る「孫の代になれば、自分のおもちゃを自分でつくるようになる」
◆ バーンズとハウイソンはこう指摘する「ナップスターでレコード会社があれだけの大騒ぎをしたのだから、ロレックスとかフェラーリなどの自作用ファイルをダウンロードして自作に使えるようになったとき、メーカがどう反応するのか見てみたい」
以上です。
ありがとうございます。
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題名 富の未来 上下 P376
著者 アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー 山岡洋一 訳 講談社
ボリュームある書であった。
ここでいう富は、単なる金銭や物の所有や経済ということではない。見えざる富、いわゆる幸福、価値感という観点で総合的な、多角的な視野から独自的な展開を進め、読者をはっと気付かせてくれる。読み終わった後になんともいえぬ、生きるということ、この世の中の仕組みとはなんだろうか、ということを考えさせる。
まとめるのは非常に難しいので、気になったポイント、私自身が感じた部分を紹介します。
◆ 新たな富の体制では、時間との関係で不規則性が強まっているのである。その結果、工業時代に作られた牢獄のような硬直性と規則性から個人が解放されている。だが同時に予測不可能性が高まり、人間関係と富の創出を調整する方法、仕事を進めていく方法を、根本から変えなければならなくなっている。
◆ いまでは、コンピューターの能力が高まり続け、人類はデータや情報、知識を過去に例のないペースで生み出し、蓄積するようになった。それに対応して、人類は過去数十年に、65億人の脳に加えて、巨大な外部頭脳を作り上げてきた。この外部頭脳は信じがたい速度で拡大している。インターネットの検索エンジンは検索の条件を細かく指定できるようようになり、様々な方法で情報内容を組み合わせ、操作できるようになってきた。
◆ 富と富の創出が中国、インドを中心とする旧「第三世界」に大規模に移動している。
◆ 個人の富も国の富もかつてないほど、拡大する世界の知識基盤に依存するようになっているのである
◆ 目に見えない生産消費経済で、子供を亡くした友人を慰める。ホームレスの子供のために玩具を集める。ゴミを片付け、リサイクル用に選り分け、近所の子供を車で運動場に連れて行き、教会の合唱隊を組織するなど、報酬を受けない無数の活動を自宅や地域社会で行う。こうした活動の多くは、活動家で評論家のヘイゼル・ヘンダーソンがいう「社会の結合を強める」性格を持っている。報酬のない経済での協力も、報酬のある経済での競争も、どちらも同じように価値が高く、価値を生み出している。
◆ いつの日か、SFのように人間が働かなくても経済が自動的に機能するようになるが、不老不死の夢が達成されれば、子育ては経済にとって不要になるだろう。それまでの間、経済はもっと深い水準で、数十億人の親が行う報酬のない生産消費活動に決定的に依存している。
◆ 経営者は、若者が十分な教育を受けていないとたえずこぼしている。混乱した自己破滅型の価値観、動機付けの不足、対人関係のスキルの貧弱さ、将来に関する不適切なイメージなどである。これらの点に問題があれば、スキルの向上が妨げられる。社会全体で子育てが失敗したとき、金銭経済の「生産性」はどれほど失われるだろうか。
◆ ゲーリー・ベッカー「いまでは、働いていない時間の方が、働いている時間よりも経済的厚生に重要かもしれない。だが経済学者が働いている時間に向ける関心は、働いていない時間に向ける関心とは比較にならないほど大きい」
◆ 通常の経済学には巨大な穴が開いていることになり、この点で、一流のエコノミストや経済学者すら予想の実績がきわめて悪い理由を一部説明できる。
◆ 食事を変えたり、喫煙や飲酒を止めたり、運動をしたりする人は多い。その結果、健康状態が良くなったとき、そのうち医者の助言が何処まで寄与し、本人の努力がどこまで寄与したのだろうか。いいかえれば、医療の産出のうち、生産者が生み出した部分はどれだけあり、生産消費者が生み出した部分はどれだけあるのだろうか。そして、経済専門家が一方だけを考慮し、他方を考慮しないのは何故か。
◆ したがって経済専門家にとって、非金銭経済を重要性が低いものだと片付けるのではなく、金銭経済と非金銭経済が互いに強化しあい、関連しあって富を創出し、健康を維持する全体的な体制を形成していく道筋のうち、とくに重要な部分を組織的に調査すべき時期がきている。
◆ 一方に金銭経済があり、他方に非金銭経済がある。この二つがあってこそ、現在の富の体制は機能しているのである。将来を計画しようとするのは誰でも、この富の体制の全体像を理解しなければならない。
◆ 子育て、健康と医療、DIY、起業、新しいニーズの発見、新製品の開発、フリーウェアの作成、知識経済の基礎になる大量の知識の入手と整理など、さまざまな形で、非金銭経済は金銭経済に寄与しているのだから。
◆ 非金銭経済での活動が金銭経済に与える影響は、ますます大きくなっていく。生産消費者は功績を認められていないが、今後の経済に貢献する英雄なのである。
◆ ロッキー・マウンテン研究所のエイモリ・ロビンスとハンター・ロビンスは「ソフト・エネルギー」経済という将来像を長年にわたって描いてきた。エイモリ・ロビンスはこう論じる「燃料電池で動く超軽量の車は、20~25キロワットの移動型発電所であり、運転されているのは一日のうち4%の時間にすぎず、残りの96%は駐車している。だったら、同じ建物で働く人たちに、燃料電池車を貸し出さない理由はない」
◆ いずれ、はるかに小さく、安く、用途の広い機械(個人用製造機)が開発され、インクではなく、各種の粉末や科学物質が入ったカードリッジを使うようになる。そうなれば、基本的には誰でもインターネットからファイルを入手して、「デスクトップ工場」を動かせるようになる。3Dシステムズのマービン・ラジェリーは語る「孫の代になれば、自分のおもちゃを自分でつくるようになる」
◆ バーンズとハウイソンはこう指摘する「ナップスターでレコード会社があれだけの大騒ぎをしたのだから、ロレックスとかフェラーリなどの自作用ファイルをダウンロードして自作に使えるようになったとき、メーカがどう反応するのか見てみたい」
以上です。
ありがとうございます。
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