06 2016

チェルノブイリ30年の教訓 放射線防護教育の継続 ロシア研究者 尾松亮

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原発は不要です。新たなエネルギーを一刻も早く有効活用すべきです。

福島県内の学校では年2時間しか放射線防護の授業を行えない

「2時間以上はダメというわけではないでしょう。それ以上すると罰があるの?」
ロシア・チェルノブイリ被災地の市民団体職員カーチャさんは言う。

今年8月、筆者が同行し、福島県内の学校の職員と放射線防護教育について意見交換したときだ。
現在、福島県内の学校では年2時間、学級活動の時間を使って放射線防護のテーマを教えているという。県内の教員は実験教材やイラストを使うなど、様々な工夫をしながらこの「2時間」の授業を組み立てている。
それでも「年2時間が方針」という教員の説明にカーチャさんは納得できないようだ。

「授業がなくても、ホームルームで10分ずつでも、繰り返しやればいいんです。課外授業を企画して、放射線マップをしたっていいし」
カーチャさんは子供たちと地域の放射線を測ったり、内部被ばくを避けるための食生活の規則を教えたり、そんな取り組みを20年近く続けてきた。自分の経験を役に立ててほしいと、今回、日本に来てくれた。
「小さな子供たちには、イラストや絵本を使って、汚染のたまりやすい森や、内部被ばくの原因になるキノコやベリー類があることを教えます。何よりも、繰り返し授業を通じて気をつけるべきことを教え、子供たちに習慣づけることが大事です」

カーチャさんは地域の学校と協力し、放射線防護の教材づくり、授業プログラムの企画に取り組んできた。
ロシアの学校にも「放射線防護」という科目があるわけではない。理科の一部(エコロジー)や、保健(「健康学」)の時間を使っている。
また、災害避難、応急手当など、有事対応の備えをするソ連時代からの科目「生活安全の基礎」がある。この教科では、一部放射線防護の項目があるが、教科書を見ると、原子力災害時の屋内退避や避難について2、3ページの記述があるだけだ。
でも被災地の先生たちは、この「科目」の中で副教材や実習をふんだんに使って、子ども達に放射線リスクを教え続けてきた。

「本来は『放射線防護』という授業をつくるべきだ。でも教育省の決定がないとできない。だから、私たちは今ある科目の中で、できるだけ放射線防護に力を入れている」
カーチャさんの住むノボズィプコフ市の教育養成校で学長を務めるマカルキン氏は言う。
国や州の方針がなくとも、地域の教育者たちの工夫と熱意で、事故30年後の今も放射線防護の授業が続く。

(聖教新聞 2016年11月17日(木)付 チェルノブイリ30年の教訓 放射線防護教育の継続 ロシア研究者 尾松亮)

ありがとうございます。

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