23 2017

チェルノブイリ30年の教訓 日本の原発事故被災者法 どの選択も支援が原則だが ロシア研究者・尾松亮

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170223福島ひまわり

日本の原発事故被災者法

本連載ではたびたび、被災者の権利を定めた「チェルノブイリ法」を紹介してきた。
日本では、原発事故被災者を守る法律はどうなっているのだろうか。
「当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」
これは「子ども・被災者支援法(正式名は「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」)」の第一条である。
福島第一原発事故後、程度の差はあれ、広い地域が放射性物質の影響を受けた。
放射線の影響から身を守るために「地域で防護の取り組みをする」「別の地域に移動する」「避難先から将来的に帰ってくる」のそれぞれの選択を国が支援する。それが「子ども・被災者支援法」の精神だ。
同法は議員立法で平成24年6月に全会一致で可決、成立した。法案策定に際して「チェルノブイリ法」を参考にしたことから、「日本版チェルノブイリ法」とも呼ばれた。
被災地域(支援対象地域)に住む人々に対しては、「国」が「放射線量の低減」に関する施策を行うと定めた(八条)。医療の確保、給食などの食の安全の確保も行う。
対象地域からの避難者に対しては、やはり「国」が「移動先における住宅の確保に関する施策、子どもの移動先における学習等の支援に関する施策、移動先における就業の支援に関する施策」を行う(九条)。
「危険だから皆にげろ」でも「安全だから心の問題でしかない」というものでもない。
「未解明」であることを前提に「放射線の影響を気にする」ことを同法は認めている。


どの選択も支援が原則だが

しかし、政府はこの法律の対象となる地域を福島県内の一部に限定してしまった(避難指示区域以外の浜通りおよび中通りの市町村)。
しかもその対象地域ですら、「放射線量の低減」、避難者の「住宅の確保」「就業の支援」が十分に行われているとはいえない。避難者に対し、公営住宅の入居要件を多少緩和したにすぎない。
このような状況は「被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」(二条)という条文に沿ったものにはなりえていない。
3月末にも、災害救助法で提供されてきた避難者への住宅支援が打ち切られるが、それは、読者の皆さんの町でも起こることだ。福島からの避難者は全都道府県に広がっているから。そこには住宅からの追い出しにおびえる子供たちもいる。

(聖教新聞2017年2月2(木)付 チェルノブイリ30年の教訓 日本の原発事故被災者法 どの選択も支援が原則だが ロシア研究者・尾松亮)

「子ども被災者支援法」の復興庁の関連資料は以下にあります。

http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/20140526155840.html

今、この日本で起きていることです。尾松亮氏は私たちに大事な気づき・視点を与えてくれていると思うのです。
本当にありがとうございます。
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