27 2017

チェルノブイリ30年の教訓 受け継いだはずの法理念 影響が否定できないなら救う ロシア研究者・尾松亮

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170227子どもの未来

受け継いだはずの法理念

福島県民を対象にした甲状腺検査では「推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認められたが、検査結果を評価する検討委員会は、原発事故の影響は否定できないが考えにくいと説明してきた。
一方、チェルノブイリ法は、「否定できないなら被害認定する」という立場だ。
同法(ロシア版)24条には、因果関係は「被ばく量のレベル、被ばく量に関するデータの欠如、チェルノブイリ原発事故以前の病歴、放射能汚染地域における居住・就労の終了から被害の発生までの期間に関係なく、当該被害が事故の否定的要因によって引き起こされた可能性がある場合には、確立されたとみなされる」とある。
可能性がある場合には因果関係を認める。「否定できない」から認定するのだ。
放射線と別の要因が重なって被害が生じた可能性も考慮する。2015年11月に来日したウクライナ医学アカデミーのA・チュマク博士は「チェルノブイリの要因だけを抽出することは不可能です。他の化学汚染とチェルノブイリによる汚染が重なった地域で、より頻繁に疾病が報告されています。放射性物質と他の有害物質が、複合的に影響していると考えられます」と述べている。


影響が否定できないなら救う

「こんな法律があるのか」と驚く必要はない。日本にもチェルノブイリ法の考え方を取り入れた法律がある。
「国は、被害者たる子ども及び妊婦が医療(東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくに起因しない負傷又は疾病に係る医療を除いたものをいう。)を受けたときに負担すべき費用についてその負担を減免するために必要な施策その他被災者への医療の提供に係る必要な施策を講ずるものとする」
2012年6月に全会一致で成立した「子ども・被災者支援法」の第十三条だ。
「放射線による被ばくに起因しない」と証明できない限りは医療負担が減額または免除され、医療サポートが提供される。企業でも自治体でもなく「国」の責任で補償する。
「因果関係」の証明責任が被害者に課されれば、多くの人が切り捨てられる。それを防ぐための条文だ。薬害患者の経験、水俣病の教訓など、日本の歴史に根差した条文でもある。
甲状腺がんの原因とされる放射性ヨウ素は関東へも広まった。この法律が定める「被災者たる子ども及び妊婦」は、事故時の福島県在住者に限定されるものではない。

(聖教新聞2017年2月9(木)付 チェルノブイリ30年の教訓 受け継いだはずの法理念 影響が否定できないなら救う ロシア研究者・尾松亮)


引き続き、「子ども被災者支援法」の復興庁の関連資料は以下にあります。

http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/20140526155840.html

いま当時のことを思い出すと、私は札幌にいました。その年の雪解けの春には、今まで見たことのない黄色い粉のようなものがアスファルトのあちらこちらの隅に溜まっていたのを思い出します。当時は花粉らしいよ、ということで気にしないようにしてましたが、今思えばなんだったのだろうかと思います。
それはさておき、子供被災者支援法の適用地域は尾松氏のおっしゃるとおり、事故時の福島県在住者に限定されてはいけないと思うのです。経済面で苦境に立たされている日本かもしれませんが、未来を継承する子供たちがあってこその日本です。子供たちのために、政府にはどうか一刻も早く地域限定枠を解除して法改正に取り組んでほしいと願っています。

本当にありがとうございます。
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