07 2017

中国・広州で池田思想シンポジウム 池田先生のメッセージ、温憲元元副院長の発表、王麗栄教授のあいさつ

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170707広州

中国・広州で池田思想シンポジウム 池田先生のメッセージ、温憲元元副院長の発表、王麗栄教授のあいさつ

「池田大作思想シンポジウム」が2017年5月27日、中国・広州市内で行われました。広東省社会科学院、中山大学南方学院、創価大学の主催となります。これには、中国内外の大学・機関の研究者から15本の論文が寄せられ、活発な議論が交わされました。

「人道主義の競争――池田大作の世界平和思想の実践の道」(厦門大学の黄順力教授)や、「池田大作の平和思想及び国際関係への影響」(創価大学の汪鴻祥教授)、「池田大作の『平和教育』の視点から見た青年の価値観教育」(南開大学の鄭文娟氏)など、平和を築く知恵を“池田思想”に求める論考と主張大会がなされました。

 シンポジウムに寄せられた論文の執筆者は次の通り(敬称略、順不同、共著者含む)。
 【広東省社会科学院】温憲元
 【厦門大学】黄順力
 【仲愷農業工程学院】高岳侖、蔡立彬
 【肇慶学院】原青林、蒋菊
 【佛山科学技術学院】姚朝文
 【中山大学南方学院】黄家■〈王へんに俞〉、林湘華
 【南開大学】鄭文娟、袁婧
 【南京理工大学】張楠
 【大連芸術学院】李丹
 【創価大学】高橋強、汪鴻祥、松森秀幸

中国には、“池田思想”の研究機関や団体として、北京大学の「池田大作研究会」や、周恩来総理の母校・南開大学の「周恩来・池田大作研究会」などがあります。
 国内外の大学・諸機関の“池田思想”研究者らが一堂に会し、活発に意見を交換し合う「池田大作思想国際学術シンポジウム」が2年に1度、中国で行われています。これとは別に、広東地域でも2年に1度、広東省社会科学院を中心にシンポジウムが開かれてきましたが、今回の集いがそれに該当します。

 ここでは、広東省社会科学院の温憲元元副院長の発表(要旨)、中山大学南方学院の国際教養教育・池田大作研究所所長の王麗栄教授のあいさつとともに、シンポジウムに寄せられた池田先生のメッセージを紹介させていただきます。


広東省社会科学院 温憲元 元副院長

 平和は、人類が永遠に追求するものです。紛争を無くすために、これまで経済・外交・文化の面からのアプローチが、国家や民間でとられてきました。しかし現実には、いまだに戦争は無くなっていません。
 私は、仏法を基調とした友情の連帯を今や192カ国・地域にまで広げているSGIに注目したい。SGIの平和運動は、異なる文明間の隔たりや衝突を防いで平和と安定を構築するなど、実際に目に見える成果を上げてきたのです。
 戦争の撲滅は容易ではありませんが、世界の指導者たちに対し、平和を訴求し続けなければなりません。
 池田先生は「SGIの日」記念提言などを通して、数十年にわたり人類の幸福を築く方途を訴えてこられました。
 池田先生の夢――それは「世界平和」だと思います。池田先生がお元気なうちに、必ず実現させたい。
 そのためには、青年の心に“平和の種”を植えていくことが重要です。SGIメンバーや“池田思想”の研究者が先生の哲学を伝え広げていくことこそ、世界平和への道だと確信します。

中山大学南方学院 王麗栄 教授

 中国ではかつて、いじめや暴力、学級崩壊など、学校にまつわる問題は、あまり関心を集めていませんでした。近年、経済発展に伴ってこれらが顕在化し、大きな社会問題になりつつあります。だからこそ、池田先生が示された「社会のための教育」から「教育のための社会」への転換が、現代の中国に求められているのです。
 私は以前、創価大学に交換教員として赴任したことがあります。創大の教員との触れ合いを通して、「創価教育」に脈打つ“学生第一”の心を感じ取りました。彼らは、創立者である池田先生が示された教育理念を実践できることを、心から喜び、情熱をもって教壇に立っていたのです。
 中国ではまた、生徒だけでなく教員一人一人にかかる負担も問題視されるようになり、心身に不調をきたす人が年々増えています。生徒の幸福と自身の幸福を確立するためには、教員が自らの心を変革する「人間革命」が必要なのです。
 池田先生の思想は、どこまでも「一人」を根本としています。先生のこの哲学を広め伝えていくことが私の使命だと思っています。


シンポジウムへの池田先生のメッセージ 「教育のための地球社会」へ 世界の大学との連帯を強く

 一、人類が直面する課題の打開へ英知を結集されゆく討議に、私は心より敬意と感謝を表するものであります。
 今回のテーマは、「平和」「分かち合い」「行動」と掲げられております。
 簡潔でありながら、環境問題、難民問題、テロや核拡散など、あまたの難題を抱える世界にあって、今一度、私たちが立ち返るべき規範が明確に示されているのではないでしょうか。

寛容と団結の智慧がここに

 一、私は、今、ここ広東の天地で生誕された孫中山(孫文)先生の不滅の宣言を思い起こしております。
 すなわち――「平和主義を持して、わが友邦とますます親睦を深め、中国を国際社会にて重視せられるものとなし、かつ、世界を漸次、大同に赴かしめんとするものである。順を追って進み、僥倖は願わない」と(伊地智善継・山口一郎監修『孫文選集第3巻』社会思想社刊)。
 大同の世、すなわち平和な地球社会という揺るぎなきビジョンに向かって、人類の良識と苦楽を分かち合いながら、断固として一歩また一歩、不撓不屈の行動によって世界史を前進せしめようとする烈々たる気概が伝わってきます。
 それは、この広州で夫妻として新たな出発をされた周恩来総理と鄧穎超先生が受け継がれた大精神でもあります。
 このシンポジウムは、こうした偉大な先人の「平和」の大志を現在に承継し、さらに実現へと近づけんとする集いであります。そして、未来の世代まで確固と信託しゆく高邁な大情熱に漲っております。
 まさしく、時を超えた崇高な「分かち合い」が、ここにあると、私は讃えたいのであります。

 一、貴国で翻訳され、集大成された仏典の中に、「四摂事」という徳目が説かれております。すなわち、共同体を栄えさせていくための四つの指標であります。
 第一に「布施」――人々に何かを与えゆくこと。励ましや希望の哲学を贈り、不安や恐れを取り除くことも含まれます。
 第二に「愛語」――思いやりのある言葉をかけること。
 第三に「利行」――他者のために行動すること。
 第四に「同事」――人々の中に入って共に働くこと。
 ここには、いかなる差異も包み込んでいく寛容の智慧とともに、いかなる試練にも屈しない団結の智慧が示されています。
 それは、悠久の中国の大地に脈々と流れ通ってきた伝統文化とも響き合っているといってよいでありましょう。

レジリエンスを高める伝統文化

 一、この5月、私は、貴国を代表する文豪の王蒙元文化相と、新たな対談集を発刊いたしました。
 タイトルは『未来に贈る人生哲学――文学と人間を見つめて』であります。
 王蒙先生は、2008年の「四川大地震」の際にも、中国の伝統文化の力が大きく発揮されたと指摘されております。一つは「逆境にあって抵抗する能力とその精神」、二つは「結束力」、三つは「仁愛(慈しみ)の心」であります。
 それは、「平和」「分かち合い」「行動」という本シンポジウムのテーマとも連動して、人類全体のレジリエンス(困難を乗り越える力)を高めゆく希望であるといえないでしょうか。
 こうした希望の光を、より強め、深め、結び合わせていく契機が、教育・文化の次元の交流であると、私は思ってきました。
 先日、中山大学南方学院において、光栄にも「自然との対話」の写真展を開催していただき、その準備に当たった日本側のスタッフが心より感銘し、感謝していたことがあります。
 先生方に温かく見守っていただく中、主体的に運営に当たってくださった学生の皆さん方の労を惜しまぬ献身であり、みずみずしい創意工夫であり、こまやかな心配りであります。

問題解決へのプラスの連鎖

 一、また今春、日本では、両国の国交正常化45周年を記念して、私どもの民主音楽協会(民音)の招聘で、中国国家京劇院の方々が2カ月にわたり、全国で52回の公演を行ってくださいました。
 「愛」と「正義」と「報恩」をテーマとした三大傑作が熱演され、学校コンサートに招かれた中学生たちを含め7万5000人に、忘れ得ぬ感動を贈ってくださったのです。
 周総理も大事にされた京劇には、「人間の善性」への確固たる信頼が脈打っており、国を超え、世代を超えて、魂の共鳴と啓発を広げずにはおかないのでありましょう。
 さらに、わが創価大学の伝統行事である、周総理ご夫妻を偲びつつ、平和友好への決意を新たにする「周桜」の観桜会は、中国の学生の皆さんも迎え、今年も有意義に行われました。

 一、ともあれ、一切の焦点は、青年であり、若人であります。
 私も本年の平和提言を、「希望の暁鐘 青年の大連帯」と題して展開いたしました。「青年の数だけ希望があり、未来がある」との信条からであります。
 そして、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」が目指す“平和で公正かつ包摂的な社会”を実現するために、青年を中心とする「三つの柱」について論及いたしました。
 ①「同じ地球で共に生きる」との思いに立った連帯
 ②分断や格差の拡大を乗り越える社会の土壌づくり
 ③どんな困難に直面しても、状況を好転させる力――の三本柱であります。
 地域の課題にあっても、グローバルな脅威においても、青年を信じ、青年の力を引き出し、青年と共に行動を重ねていくところにこそ、問題解決へのプラスの連鎖が生まれていくことを、私は確信してやみません。
 その意味において、世界の大学の平和のネットワークがますます重要となっております。
 難民の支援にあっても、世界の大学が国連と連携して教育機会を少しでも拡大していく意義は、誠に大きいでしょう。
 わが創価大学も、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と「難民高等教育プログラム」の協定を結び、今春から難民の留学生の受け入れの第一歩を踏み出したところです。

 一、今、私は、宋慶齢先生の言葉を思い起こしております。
 「私たちには多くの愛があり、その愛を遠く離れ、いまだ苦しみの中で過ごしている子どもたちに分け与えることができると、深く信じています。
 私たちが平和を勝ち取る闘争に身を捧げる中で、各国の父母たちにも手を差し伸べることができるでしょう。世界の全ての人々は、皆、子どもたちに平和で豊かな生活をさせてあげたいという同じ目標を目指していると、私は確信しているのです」と。
 ここに謳われている「人類の平和」と「世界の子どもたちの幸福」という悲願を、敬愛する先生方と分かち合い、「教育のための地球社会」という未来へ、さらに力強く行動しゆく決意を申し上げ、私のメッセージといたします。
 本日は、誠に誠にありがとうございます。改めて心より、厚く御礼申し上げます。謝謝!(大拍手)

(聖教新聞2017年5月31(水)、6月3日(土)付 中国・広州で池田思想シンポジウム 池田先生のメッセージ、温憲元元副院長の発表、王麗栄教授のあいさつ)

私たちは日本人であろうとも、中国人であろうとも、人種という小さな枠組みを乗り越えて、地球民族(人類)の幸福のために共存の道を切り開かなくてはならないと強く思うのです。その道を切り開き残してくださったのは紛れもなく池田先生です。

本当にありがとうございます。
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