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2017
中国・湖南工業大学が池田先生に「名誉教授」称号 池田先生の謝辞
- CATEGORY創価学会三代会長ご指導
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6月22日午後、東京・八王子市の創価大学本部棟にて、中国・湖南省株洲市の湖南工業大学から、創価大学創立者の池田大作先生に「名誉教授」称号の授与式が行われました。これは、日中両国の教育・文化の発展、民間交流の促進、世界の文明に対する多大な貢献をたたえたものです。
授与式には、湖南工業大学の唐未兵党委書記ら一行が出席されました。
そのときの池田先生の謝辞を掲載いたします。
創価大学の「文学の池」でも、蓮保存会の友などが春夏秋冬を通し丹念に手入れを重ねてくれており、蕾を膨らませ始めています。
本年、生誕千年の佳節を迎えた、北宋の大思想家・周敦頤先生は、名高い「愛蓮の説」において――
「淤泥より出でて染まらず」「香り遠くして益〻清く」「蓮は花の君子なり」(星川清孝著、柚木利博編『古文真宝(新版)』明治書院)と謳いました。
最新の研究によれば、周敦頤先生は、私たちが敬愛してやまぬ周恩来総理の祖先に当たると言います。まさしく、蓮の如き君子の風格を湛えられていた、あの周総理の尊容が、私には偲ばれてなりません。
周総理の精神を継がれる偉大な教育者の先生方に御来学いただき、感慨ひとしおであります。
21世紀を担い立つ人材の大輪を咲き薫らせゆく誉れ高き科学と教育の殿堂より、尊き名誉教授の称号を、本日ここに、私は謹んで拝受させていただきます。誠に誠にありがとうございます。
そして、「創価教育の父」である牧口常三郎先生と、その教え子である貴国からの先駆の留学生の方々に捧げさせていただきたいのであります。
実は、牧口先生は、20世紀の初頭、中国の留学生のために設立された東京の弘文学院で地理学を教えておりました。講義に感銘した留学生たちが中心となって、のちに牧口先生の大著『人生地理学』は中国語に翻訳されました。学校教育の地理の教科書などに活用されていたことが、歴史に留められております。
とりわけ、同学院に学んだ7000人を超える留学生のうち、およそ4割の方が、洞庭湖を挟んだ湖南省と湖北省の出身者でありました。
中国の青年たちを慈しんでやまなかった牧口先生も、本日の儀式を微笑み見守っておられるに違いありません。
牧口先生の『人生地理学』においては、民衆を結合する教育の力に論及されておりました。
とともに、「軍事」や「政治」「経済」の次元での競争の時代を超えて、「人道的競争」という平和と共存共栄の世界ビジョンが示されております。それは、貴大学が校訓として掲げる「厚徳博学、和而不同」とも相通ずる理念でありましょう。
牧口先生と縁を結んだ貴国の留学生たちは、帰国後、教育界などで不滅の足跡を残すとともに、命を賭して、辛亥革命に身を投じ、祖国に献身していかれました。
牧口先生は、そうした教え子たちの奮闘に思いを馳せながら、日本の軍国主義と対峙し、獄死を遂げたのであります。
世紀を超えて受け継がれてきた「人道の和合」を、私たちはさらに強め広げてまいりたい。
「和合」の力については、このたび発刊した、王蒙元文化相との対談集でも語り合いました。
『荘子』に「両者交〻通じて和を成し、而して物生ず」(金谷治訳注『荘子』岩波書店)とあるように、和合によって偉大な価値創造が生まれます。なかんずく、教育・文化の交流こそ、最も確かな力ではないでしょうか。
中国と日本の国交正常化45周年に当たり、その意義を、あらためて確認したいと思うのであります。
貴大学の立つ株洲市には、いにしえの伝説の聖王である「神農」(炎帝)が眠るとされております。
神農は五穀を蒔き、農具を発明して、民に農耕を教えるとともに、命を守る医薬の技術や知見を弘めたと伝えられます。民衆に漁猟を教えたとされる「伏羲」とともに、「神農」の時代は、自然と人間が共生し、人心も安らかで豊かな理想郷として、広く仰がれてきました。
若き日から私が拝してきた仏典にも、「吹く風枝をならさず雨壤を砕かず、代は羲農の世〈伏義と神農の時代〉となりて」と記されており、仏法が目指す理想社会の大いなる指標となっているのであります。
太古より「民衆とともに」「民衆のために」という精神が脈打つロマンの天地で、貴大学は「実を求め、新しきを創る」との建学の精神を標榜して、創造的学問へのたゆまぬ挑戦を貫いてこられました。
最先端の「包装設計」の分野をはじめ、「生物医学」や「素材科学」のエンジニアリングなどの画期的な取り組みも、よく存じ上げております。
「中国低炭素都市ランキング」等の重要な研究プロジェクトを推進され、現代世界の喫緊の課題である環境問題への貢献も、高く評価されているところです。
雄渾なるリーダーシップを発揮される唐未兵先生は、学生たちに呼び掛けておられます。
“大学で学んだ知識を、民衆と社会のために役立てる具体的な実践のなかで、現実の課題を解決する力、自身の壁を乗り越える創造力、そして複雑な社会に適応する力を高めていってほしい”――と。
そこに、私は、かの神農も体現していた如き、崇高な民衆奉仕の大情熱を感じとるのであります。
真実の知性も、創造性も、民衆の中に飛び込んで、民衆の幸福のため、あえて厳しい苦難に挑みゆく悪戦苦闘によってこそ、磨かれ、鍛えられるものでありましょう。
私たちもまた、泥沼から湧き出ずる蓮華のように、現実社会の真っ只中で、民衆とともに、民衆のために、賢く、たくましく、朗らかに、「希望の華」を、「創造の華」を、「勝利の華」を咲き誇らせていきたいのであります。
「湖南人が倒れない限り、中国は傾くことはない」
これは、清の大指導者・曾国藩の名言であります。
揺るぎなき信念の世界市民を育て、そして、平和の大連帯を広げゆくことこそ、混迷を深める国際社会にあって、ますます重要な大学の使命ではないでしょうか。
湖南が生んだ人類の頭脳・天台智顗は「衆流 海に入り 薪 火を熾んにす」と記しております。
貴大学の校章に刻まれた「包」の字のように、大海はどんな河の流れが押し寄せようとも、悠然と包み込んで、生命を育んでいきます。そうしたスケールの大きな新時代の世界市民が陸続と躍り出ることを、私は願う一人であります。
そして、薪が火を燃え上がらせるように、いかなる試練も、創造と前進のエネルギーと転じていく、不屈の英知のスクラムを、より広範に築き上げていきたいのであります。
私も、本日より、先生方とご一緒に、創造的世界市民の育成にさらに尽力してまいる決心であります。
結びに、貴・湖南工業大学の無窮の発展と栄光、そして、諸先生方のますますのご健勝をお祈り申し上げ、私の謝辞とさせていただきます。
謝謝!(中国語で「ありがとうございました!」)(大拍手)
(聖教新聞2017年6月23日(金)付 中国・湖南工業大学が池田先生に「名誉教授」称号 池田先生の謝辞)
本当にありがとうございます。
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6月22日午後、東京・八王子市の創価大学本部棟にて、中国・湖南省株洲市の湖南工業大学から、創価大学創立者の池田大作先生に「名誉教授」称号の授与式が行われました。これは、日中両国の教育・文化の発展、民間交流の促進、世界の文明に対する多大な貢献をたたえたものです。
授与式には、湖南工業大学の唐未兵党委書記ら一行が出席されました。
そのときの池田先生の謝辞を掲載いたします。
悪戦苦闘が知性を鍛える 民衆の幸福へ 不屈のスクラムを
一、わが憧れの麗しき湖南省は、蓮華の花が有名であると伺いました。創価大学の「文学の池」でも、蓮保存会の友などが春夏秋冬を通し丹念に手入れを重ねてくれており、蕾を膨らませ始めています。
本年、生誕千年の佳節を迎えた、北宋の大思想家・周敦頤先生は、名高い「愛蓮の説」において――
「淤泥より出でて染まらず」「香り遠くして益〻清く」「蓮は花の君子なり」(星川清孝著、柚木利博編『古文真宝(新版)』明治書院)と謳いました。
最新の研究によれば、周敦頤先生は、私たちが敬愛してやまぬ周恩来総理の祖先に当たると言います。まさしく、蓮の如き君子の風格を湛えられていた、あの周総理の尊容が、私には偲ばれてなりません。
周総理の精神を継がれる偉大な教育者の先生方に御来学いただき、感慨ひとしおであります。
21世紀を担い立つ人材の大輪を咲き薫らせゆく誉れ高き科学と教育の殿堂より、尊き名誉教授の称号を、本日ここに、私は謹んで拝受させていただきます。誠に誠にありがとうございます。
留学生を愛した「創価教育の父」
一、この栄誉を、私は第一に「人道の和合の旗印」として、お受けさせていただきたい。そして、「創価教育の父」である牧口常三郎先生と、その教え子である貴国からの先駆の留学生の方々に捧げさせていただきたいのであります。
実は、牧口先生は、20世紀の初頭、中国の留学生のために設立された東京の弘文学院で地理学を教えておりました。講義に感銘した留学生たちが中心となって、のちに牧口先生の大著『人生地理学』は中国語に翻訳されました。学校教育の地理の教科書などに活用されていたことが、歴史に留められております。
とりわけ、同学院に学んだ7000人を超える留学生のうち、およそ4割の方が、洞庭湖を挟んだ湖南省と湖北省の出身者でありました。
中国の青年たちを慈しんでやまなかった牧口先生も、本日の儀式を微笑み見守っておられるに違いありません。
牧口先生の『人生地理学』においては、民衆を結合する教育の力に論及されておりました。
とともに、「軍事」や「政治」「経済」の次元での競争の時代を超えて、「人道的競争」という平和と共存共栄の世界ビジョンが示されております。それは、貴大学が校訓として掲げる「厚徳博学、和而不同」とも相通ずる理念でありましょう。
牧口先生と縁を結んだ貴国の留学生たちは、帰国後、教育界などで不滅の足跡を残すとともに、命を賭して、辛亥革命に身を投じ、祖国に献身していかれました。
牧口先生は、そうした教え子たちの奮闘に思いを馳せながら、日本の軍国主義と対峙し、獄死を遂げたのであります。
世紀を超えて受け継がれてきた「人道の和合」を、私たちはさらに強め広げてまいりたい。
「和合」の力については、このたび発刊した、王蒙元文化相との対談集でも語り合いました。
『荘子』に「両者交〻通じて和を成し、而して物生ず」(金谷治訳注『荘子』岩波書店)とあるように、和合によって偉大な価値創造が生まれます。なかんずく、教育・文化の交流こそ、最も確かな力ではないでしょうか。
中国と日本の国交正常化45周年に当たり、その意義を、あらためて確認したいと思うのであります。
中国古代の聖王神農が眠る天地
一、第二に、貴大学からの光栄を、私は「理想社会への希望の華」として、全世界の創価の友と分かち合わせていただきます。貴大学の立つ株洲市には、いにしえの伝説の聖王である「神農」(炎帝)が眠るとされております。
神農は五穀を蒔き、農具を発明して、民に農耕を教えるとともに、命を守る医薬の技術や知見を弘めたと伝えられます。民衆に漁猟を教えたとされる「伏羲」とともに、「神農」の時代は、自然と人間が共生し、人心も安らかで豊かな理想郷として、広く仰がれてきました。
若き日から私が拝してきた仏典にも、「吹く風枝をならさず雨壤を砕かず、代は羲農の世〈伏義と神農の時代〉となりて」と記されており、仏法が目指す理想社会の大いなる指標となっているのであります。
太古より「民衆とともに」「民衆のために」という精神が脈打つロマンの天地で、貴大学は「実を求め、新しきを創る」との建学の精神を標榜して、創造的学問へのたゆまぬ挑戦を貫いてこられました。
最先端の「包装設計」の分野をはじめ、「生物医学」や「素材科学」のエンジニアリングなどの画期的な取り組みも、よく存じ上げております。
「中国低炭素都市ランキング」等の重要な研究プロジェクトを推進され、現代世界の喫緊の課題である環境問題への貢献も、高く評価されているところです。
雄渾なるリーダーシップを発揮される唐未兵先生は、学生たちに呼び掛けておられます。
“大学で学んだ知識を、民衆と社会のために役立てる具体的な実践のなかで、現実の課題を解決する力、自身の壁を乗り越える創造力、そして複雑な社会に適応する力を高めていってほしい”――と。
そこに、私は、かの神農も体現していた如き、崇高な民衆奉仕の大情熱を感じとるのであります。
真実の知性も、創造性も、民衆の中に飛び込んで、民衆の幸福のため、あえて厳しい苦難に挑みゆく悪戦苦闘によってこそ、磨かれ、鍛えられるものでありましょう。
私たちもまた、泥沼から湧き出ずる蓮華のように、現実社会の真っ只中で、民衆とともに、民衆のために、賢く、たくましく、朗らかに、「希望の華」を、「創造の華」を、「勝利の華」を咲き誇らせていきたいのであります。
“信念の世界市民”育成が大学の使命
一、最後に、この栄誉を「揺るぎなき信念の柱」として、若き世界市民の友に託させていただきたいと思っております。「湖南人が倒れない限り、中国は傾くことはない」
これは、清の大指導者・曾国藩の名言であります。
揺るぎなき信念の世界市民を育て、そして、平和の大連帯を広げゆくことこそ、混迷を深める国際社会にあって、ますます重要な大学の使命ではないでしょうか。
湖南が生んだ人類の頭脳・天台智顗は「衆流 海に入り 薪 火を熾んにす」と記しております。
貴大学の校章に刻まれた「包」の字のように、大海はどんな河の流れが押し寄せようとも、悠然と包み込んで、生命を育んでいきます。そうしたスケールの大きな新時代の世界市民が陸続と躍り出ることを、私は願う一人であります。
そして、薪が火を燃え上がらせるように、いかなる試練も、創造と前進のエネルギーと転じていく、不屈の英知のスクラムを、より広範に築き上げていきたいのであります。
私も、本日より、先生方とご一緒に、創造的世界市民の育成にさらに尽力してまいる決心であります。
結びに、貴・湖南工業大学の無窮の発展と栄光、そして、諸先生方のますますのご健勝をお祈り申し上げ、私の謝辞とさせていただきます。
謝謝!(中国語で「ありがとうございました!」)(大拍手)
(聖教新聞2017年6月23日(金)付 中国・湖南工業大学が池田先生に「名誉教授」称号 池田先生の謝辞)
本当にありがとうございます。
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