16 2021

ウイグル人へのジェノサイト問題について

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210316イルカ

題名 私の身に起きたこと、命がけの証言 の2書
著者 清水ともみ 季節社


ウイグル人のジェノサイト問題

ウイグル人のジェノサイド問題について知るために、清水ともみさんの本を購入しました。

私は以前、中国の北京と内モンゴル自治区を訪問したことがあります。職場の植樹プロジェクトに参加させて頂いたものです。
本場中国の中華料理がおいしくて、人々も気さくで、表裏なく強引で、強く逞しく生きている、というエネルギーを感じてとても感動した記憶があります。私にとって中国はとても大好きな国のひとつです。

長い歴史を考えると、日本と中国の文化は切っても切り離せるものではなく、ある意味兄弟であり、友人でもある国だと感じているからこそ、私は書かねばならないと強く思うのです。

本書を読んで、愕然としました。この問題は、領土や文化・歴史認識の違いといった類いで片づけられる内容ではありません。ナチスドイツのホロコーストに匹敵する異常事態が、今まさにこの地球上で、まして隣国である中国においえて、現在進行形で行われているというのです。あなたは信じられるでしょうか。私はとても苦しく、また胸は張り裂けそうになりました。

人類の生命尊厳を破壊する重大事にもかかわらず、世界の各国が生き延びるために、まさに自国の経済を最優先して中国に依存してきた結果、中国共産党の私利私欲を満たす目的と合致し、生命を冒瀆する蛮行・犯罪に我々は閉口し、沈黙し、黙殺してきたのです。

経済至上主義がウイグル人の生命を利用し、結果、生命尊厳という人道主義を根本から破壊していたのです。

ユダヤ人のホロコーストがあそこまで大きな悲劇を生んでしまった理由。それは、ヒトラーだけが悪かったのではなく、どんな人も無視できないほど惨事が広がるまで、民衆がユダヤ人の苦しみに、無関心で鈍感だったためではないでしょうか。

ウイグル人が勇気を持って証言を開始している今、知ってしまった以上、無関心と傍観は同罪だと自身の良心が訴えかけてきます。だからまず、知ってほしい。そして、皆さん自身の心で考えてみてほしいのです。

今、私たちが住む尊い地球上の一部で、一体何が起こっているのかを。



新疆ウイグル自治区で何が起こっているのか

以下のリンク先から、清水ともみさんの「私の身に起きたこと」が無料で閲覧できるのでまずはこちらを読んでみてください。
https://note.com/tomomishimizu/n/nfd4c33d0fcdf?magazine_key=me68470f9ccfa

このお話しは、漫画家の清水ともみさんが、実際の証言をもとに、つくられたものです。
また、日本ウイグル協会のHPでは、こちらの漫画の証言者ご本人が話されている動画があります。

日本ウイグル協会:
https://uyghur-j.org/japan/


新疆ウイグル自治区では2017年ごろから現在に至るまで、弾圧が激化しています。
およそ180万~300万人のウイグル人が組織的に施設に収容され、拷問、強制労働、薬物投与・手術による不妊・中絶を強要、性的虐待、臓器売買が行われ、行方不明・死亡していることが、中国の公的文書のリークや、生存者の証言から少しずつ明らかになってきています。ユダヤ人のホロコーストに匹敵する、といわれているのはこのためです。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の調査によると、82の外国企業と中国企業が直接的または間接的にウイグル人の強制労働者を利用して、利益を得ていると指摘されています。
実はこのリストの中に、日本企業も含まれておりまず。ASPIのサイト内で詳しく紹介していますので、興味がある方は確認してください。

オーストラリア戦略政策研究所:
https://www.aspi.org.au/report/uyghurs-sale

東京新聞2021/2/21記事:
https://www.tokyo-np.co.jp/article/87373

日本ウイグル協会における日本企業問題に対するフォローアップ調査報告:
https://uyghur-j.org/japan/2021/02/uyghur_forcedlabor2/



2020年6月には、アメリカのトランプ前大統領がウイグル人権法案に署名し、2021年の1月19日に、中国政府のウイグル人弾圧を、国際法上のジェノサイドと認定しました。

また、アメリカ、イギリス、カナダでは、強制労働による綿花などの製品の流通防止策や禁輸を発表、イギリスでは2022年の北京オリンピックのボイコットを示唆しました。
フランスでは国連調査団による現地派遣を要求し、対中包囲網を強めています。

そして最近(3/1現在)では、カナダ下院では2月22日、オランダ下院では2月25日に非難決議を採択し、ジェノサイト認定の動きを着実に見せています。
もし新しい追加記事があればお知らせ頂けると幸いです。



ジェノサイト(集団虐殺)の判断基準とは何か

ジュネーブ国際開発高等研究所(IHEID)によって1998年に出版された国際刑法辞典は、「ジェノサイド」を次のように定義しています。
**********
人類に対する国際法上の犯罪であって、国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われる以下に列挙されたいずれもの行為と限定的に解釈される。
・集団構成員を殺すこと
・集団構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること
・全部または一部に肉体的破壊をもたらすために意図された生活条件を
集団に対して故意に課すこと
・集団内における出生を防止することを意図する措置を課すこと
・集団の児童を他の集団に強制的に移すこと
***********
国際都市ジュネーブ:
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%A8%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E8%AB%B8%E5%9B%BD%E3%81%8C%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%81%A7%E5%AF%BE%E7%AB%8B/46194314




この問題に対する世界と中国の見解はどうなのか

2020年10月に開催された国連総会第三委員会では、ドイツから日本を含む39カ国が中国非難の共同声明を発表しました。その国は次の通りです。
アルバニア、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ボスニア、ヘルツェゴビナ、ブルガリア、カナダ、クロアチア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ハイチ、ホンジュラス、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マーシャル諸島共和国、モナコ、ナウル、オランダ王国、ニュージーランド、北マケドニア、ノルウェー、パラオ、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ、ドイツ

キューバは45カ国を代表して中国擁護の共同声明を発表しました。

この結果は、国際社会が分断される、難しい状況であることを示しています。そして、これは中国経済に大きく依存する国々が多くあることにも起因しています。

これに対し、中国政府は当初、強制収容施設の存在を否定していましたが、テロ対策に必要だとして施設の正当性を主張する方向に転換しました。しかし、ウイグル人弾圧問題については、悪意溢れる茶番劇である、と主張しています。

中国は自国の正当性を国際社会に認めさせるのであれば、堂々とウイグル自治区のあらゆる施設へ、堂々と国連や他国の視察を受け入れるべきであると、私は思います。それができなkれば、正当性を主張するのはできるはずがありません。



日本国内における動き

自民党においては日本ウイグル連盟なるものを超党派で行っていくことで進めようしています。また、広島県においては地方議員の中で支援組織が発足しています。
そして最近(2月下旬)では、Will増刊号編集者より、全国会議員へ「命がけの証言」の書籍が送付されています。

関連サイト:
朝日新聞:ウイグル問題めぐり超党派議連が発足、政府に対応訴え
https://www.asahi.com/articles/ASP2B7FVJP2BUTFK00B.html

産経新聞:ウイグル族迫害の実態を知って 地方議員の支援組織発足
https://www.sankei.com/politics/news/201118/plt2011180020-n1.html

【WiLL増刊号#432​】:【ウイグル虐殺】国会議員706名全員に「命がけの証言」を送りました【WiLL増刊号#432​】
https://youtu.be/aOGerMaBLfk



210316Uyghurウイグルの本

声を上げることは、私たちにもできる

この現状に対し、私個人としてはどうしても見て見ぬふりなどできません。
私たちは同じ地球上に住む、地球民族であり兄弟です。生命尊厳。それが私の哲学であり、人生の師匠が教えてくれたことです。

今回のことを知り、さっそく日本ウイグル協会に加入し、現状を伺いました。
政治家の方にも問い合わせを.行っています。

このような問題にどのように対処すればよいのか。オーストラリア戦略政策研究所によれば、次のような対策を提案しています。(ざっくりグーグル翻訳です。すみません)

【中国共産党政府に対して】
・多国籍企業に自由なアクセスを提供し、中国の工場での虐待的または強制的な労働慣行を調査できるようにする
・中国のすべての労働者、特に脆弱な少数民族の労働者の権利を支持し、彼らの労働がどのように展開され、彼らが居住地を離れる条件を決定する
・ILO国際労働基準を批准する。
・強制労働の疑いのある事件の調査を含む、包括的な苦情処理メカニズムを構築する。
・被害者に保護と救済を提供し、加害者を起訴できるようにする
・中国憲法に定められた民族的および宗教的権利を保護することを含め、中国国民の正当な権利を支持する


【関連する可能性のある企業に対し】
・堅牢で独立した社会監査および検査を含む、中国の工場労働に関する即時かつ徹底的な人権デューデリジェンスを実施する
・監査と検査には、脆弱な労働者の状態と現在および継続中の安全性のストックテイクを含める必要がある
・工場が強制労働に関与していることが判明した場合は、そのレバレッジを使用して不適切な労働慣行に対処するよう努める
・危害が発生しないよう、適切かつ迅速な是正措置を講じる必要がある。できない場合は、関連工場との協力をやめる
・デューデリジェンスや監査結果を公に報告するなど、すべての潜在的な危害に対処しようとするため、完全に透明であることが必要

【外国政府の求められる対応】
・新疆ウイグル自治区の強制労働移転に責任のある高官に対する的を絞った制裁の使用を含む、ウイグル人の強制労働と大量の司法外拘禁の使用と促進を終わらせるよう中国政府に圧力をかける機会を特定する
・強制労働で生産される商品や製品を制限するための貿易協定の見直し
・中国政府に強制労働条約、1930年(第29号)、148 強制労働条約の廃止、1957年(第105号)149 および2014年の強制労働条約の議定書を批准するよう圧力をかける機会を特定する。

【NGO、市民、消費者団体に対して】
・中国で製造する企業に、強制労働慣行に加担していないことを確認するためにデューデリジェンスと社会監査を実施するよう要求する
・強制労働と重要な人権侵害の新たな過小報告された指標として、労働者とそのデジタル通信の継続的な多層監視と監視(労働時間内と時間外の両方)の認識を提唱する
・サプライチェーンの構成と強制労働が発生しないようにするために実施した予防措置について、ブランドの透明性を高めるように促す
・企業がグローバルサプライチェーンで強制労働を使用しないように、新しい公約を行うか、現在の公約を支持するか、またはその両方を行うこと、およびそのようなケースが特定された場合に迅速かつ公に行動することを要求する



この問題は曖昧にすべきではなく、事実であれば決して許されるものではありません。
失ってよい命など、この世には決して存在しないのです。
中国共産党は、自らの行いを正しいと表明ずるのであれば、堂々と現地視察を受け入れ、全てをオープンにし、見える化を行えばよいだけなのです。

心に留めた言葉

 中国にかかわることで心に留めた言葉を記します
中国の政治・歴史家の郭沫若さんの言葉にこうあります。
「日中関係のあるべき姿とは、かつての日本の侵略について、中国側は『過去のことは水に流しましょう』と言い、日本側は『いや、私たちは再びあやまちを犯さないため、けっして忘れません』という状態である」
 つまり、相手をせめて甘えが悪い、俺は悪くない、ということではなく、利害を乗り越えた互いを思いやる姿勢と心が大切である、というこを学びました。これには結局、自らの成長・境涯革命しかないと考えています。

元朝日新聞ジャーナリストの西園寺氏が、周恩来よりかけられた言葉が心に残りました。
「きみは、これから中国でたくさんの友達をつくりなさい。そのことが、将来必ず大きな財産になる。そして、きみは中国人の友達とつき合うなかで、中国のいろいろな面を見るだろう。中には悪いところもあるだろう。そういう面を見つけたとき、きみはそれを心の中にしまいこむのではなく、友達に向かってはっきりと言いなさい。ありのまま、見たまま、悪い点はどんどん批判しなさい。私たちは、そのように正直に批判してくれる友を望んでいるのだ」

戦後、中国民衆の反日感情を和らげる努力として、周恩来は、侵略戦争を画策し、命令・実行した一部の軍国主義者と、それ以外の一般国民を厳密に区別して中国民衆に教育徹底していたようです。侵略を推し進めた軍国主義者たちは、絶対に許してはならない。しかし、一般の日本国民は、我々中国国民と同じく日本軍国主義の犠牲者である。だから、一般国民とは友好を結ぶことができると。 これを考えると、靖国神社への「A級戦犯」合祀と、日本の首相による靖国神社公式参拝に、なぜあれほど強く中国が反発してりるのかが理解できます。軍国主義者たちと一般国民を一緒にする行為となり、両者を峻別することによって反日感情を和らげてきた中国側の努力を、水泡に帰す行為となる。ということです。


このような観点も踏まえ、今回のジェノサイト問題はどのように考えるのか、どのように行動を起こすべきか、中国への態度を示すべきか、私たちはよく考えねばなりません。
どうか一刻も早く、この地球上に生命尊厳の哲学を根幹においた文化の華が爛漫と咲き香るよう、行動と祈りを実践していきたいと思います。

ありがとうございます。
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私の身に起きたこと命がけの証言ウイグル

1 Comments

たかきち  

2021.5.11更新しました

心に留めた言葉」を更新しました。

2021/05/11 (Tue) 20:51 | EDIT | REPLY |   

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