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題名 精神科にできること 脳の医学 心の治療 P217
著者 野村総一郎 講談社現代新書 講談社
自分に無縁だと思っていた精神病。しかしある施設ができたという話を聞き、精神病とは何かと興味を持ち、読み始めたのが本書である。
私が注目した点は、1960年から2000年までの各国の精神科病床数の変化を見ると、各国(フランス・イギリス・ドイツ・韓国・アメリカ)では病床数が減少傾向にあるのに対し、なんと日本では減少せずほぼ同等数を維持しているのだ。実は、欧米ではボランティア団体、宗教団体などのコミュニティ活動が比較的しっかりしていて障害者を支えやすい土壌があるため、それを基盤として地域に施設を作り、行政もそこに予算を投入して「医療」ではなく「福祉」として、精神病院を退院した統合失調症患者を支えようとしたという。その結果、精神病床は減ったのだ。それに比べて日本はまだ「福祉」と「宗教」に対する土壌が十分ではない。
そのほかに、精神病は他の病気とは違い、非常に細やかで人手をかけた医療が要求されるため、他の医療のよりも費用がかかるといわれる。しかし、日本において医療費は完全に政府の管理下にあるため、この利点も大きいが、精神科医療の価格設定がかならずしも実態に合っていないという問題があるようだ。
このように将来の日本の精神科や福祉の発展を考えるに、政治及び宗教の将来のあり方が大きく影響するのではないだろうか。以下に本書から学んだ点、特にうつ病について記す。
★「うつ病」とは、ゆううつがひどくなった病気がうつ病といい,大脳辺縁系の病気であるという。全人類の10人に1人が生涯で一度はうつ病にかかるといわれる。一番の治療は,抗うつ薬と休養を行うことで、7割が治ると言われる。抗うつ薬は現在の日本では16種類が使用可能であるが、便秘や吐き気など副作用があるため,患者から見ると効き目がさっぱりわからないようだ。しかし、我慢して飲み続けると,なんとなく楽になってくるようだ。したがって薬は飲み続ける必要がある。 また最近の欧米で行われた調査によれば,うつ病が治ってから抗うつ薬を一年以上飲み続けた人は,一年以内にやめた人に比べて,うつ病の再発が少ない結果となっている。つまり,うつ病が風邪のような一時的な病気というよりも,高血圧症や糖尿病といった,薬を持続的に飲み続けることで予防可能な,体質が大きく関係する病気だということだ。大切なことは,うつ病の本人はどうすることも出来なくなるため,周囲の家族・友人等が,ちゃんと面倒を見てあげなければならない。そして環境の不安面があれば取り除き,休息をしっかり取らせ,必ず病院にいって診断を受け,薬をもらうことだ。本人にとっては,癌などの悪性疾患を含めた全ての病気の中で,最も苦痛とも言われているのだ。自殺で亡くなった人の7割にうつ病が存在し,うつ病の約1割は10年以内に自殺するというデータもある。私たちは今の時代を考えるとき,この病気についてよくよく考えねばならない。
★精神医療を受けるための場を大きく分けると、「精神科病院」「総合病院」「精神科クリニック」の3つに分類される。
精神科病院:日本の36万の精神科病床のうち95%を占める。入院患者の約6割は統合失調症であり、残りは痴呆、アルコール依存症のようである。治療環境は欧米の一流施設に劣らないにもかかわらず、精神病院不祥事というのも後を絶たない。これは病院という組織は閉鎖的な性質を持っていることに起因すると云われる。特に患者が統合失調症の場合は病院側と患者のコミュニケーションがまったく取れない状態で治療を進めざるを得ないため、強制的な医療の色彩が現れて、病院側の人権感覚がずれるという問題が発生するようだ。
総合病院精神科:精神科専門病院は世間の偏見があってかかりにくいが、総合病院であればかかりやすいというメリットがある。しかし精神科の病床数がすくなく、様々な患者に対して対応しきれない現実があり、経済的に成り立たない現実がある。総合病院の精神科は軽い精神障害の急性期の治療をイメージしているといえよう。
精神科クリニック:精神科医が一人でやっており、入院設備はなく、外来だけであるから重症なケースは対応不可能である。しかし非常に小回りが利くというのか、総合病院よりも更に気楽にかかれる利点がある。
心療内科クリニック:日本以外の国では心療内科なるものは存在しないという。日本においてのみ、心療内科という専門家が「心と体」を両方見るもの。心は心、しかし実は日本の法律では医者は何科であろうと自由に名乗ることが出来るようだ。実は心療内科のクリニックの80%は実は精神科医であるともいわれている。
以上です。
ありがとうございます。
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題名 精神科にできること 脳の医学 心の治療 P217
著者 野村総一郎 講談社現代新書 講談社
精神科の入門書
精神科の入門書ともいえる。本書の目的は、精神科の現在の姿をリアルに示しことであり、精神障害に対する偏見の解消を目指していると筆者はいう。精神障害とは何か、に始まり、精神科の主な病気である「統合失調症」「うつ病」「不安障害」「摂食障害」「自律神経失調症」についてわかりやすく書かれている。最後に日本における精神科の今後の課題について筆者の考え方を記している。自分に無縁だと思っていた精神病。しかしある施設ができたという話を聞き、精神病とは何かと興味を持ち、読み始めたのが本書である。
私が注目した点は、1960年から2000年までの各国の精神科病床数の変化を見ると、各国(フランス・イギリス・ドイツ・韓国・アメリカ)では病床数が減少傾向にあるのに対し、なんと日本では減少せずほぼ同等数を維持しているのだ。実は、欧米ではボランティア団体、宗教団体などのコミュニティ活動が比較的しっかりしていて障害者を支えやすい土壌があるため、それを基盤として地域に施設を作り、行政もそこに予算を投入して「医療」ではなく「福祉」として、精神病院を退院した統合失調症患者を支えようとしたという。その結果、精神病床は減ったのだ。それに比べて日本はまだ「福祉」と「宗教」に対する土壌が十分ではない。
そのほかに、精神病は他の病気とは違い、非常に細やかで人手をかけた医療が要求されるため、他の医療のよりも費用がかかるといわれる。しかし、日本において医療費は完全に政府の管理下にあるため、この利点も大きいが、精神科医療の価格設定がかならずしも実態に合っていないという問題があるようだ。
このように将来の日本の精神科や福祉の発展を考えるに、政治及び宗教の将来のあり方が大きく影響するのではないだろうか。以下に本書から学んだ点、特にうつ病について記す。
精神科について本書から学んだこと
★「統合失調症」とは、昔は「精神分裂症」と呼ばれていた幻覚症状などを見る病気だ。100人のうち一人弱がこの病気で苦しんでいるという。この病気の原因は、脳の色々な場所を結ぶ統合機能に障害があるといわれ、複数の脳内物質が影響しているようだが根本的な原因は不明であるという。入院患者で最も多くを占めるのは統合失調症。統合失調症の患者の大半は、退院後家族のもとに帰るが、家族がなく社会復帰できるような状態でない場合は、福祉ホームや援護寮などの社会復帰訓練施設に入る。これらの施設は日本でも徐々に整備されつつあるようだが、世間の理解、政府行政が真剣に改善する意欲が必須条件となるのも事実のようである。★「うつ病」とは、ゆううつがひどくなった病気がうつ病といい,大脳辺縁系の病気であるという。全人類の10人に1人が生涯で一度はうつ病にかかるといわれる。一番の治療は,抗うつ薬と休養を行うことで、7割が治ると言われる。抗うつ薬は現在の日本では16種類が使用可能であるが、便秘や吐き気など副作用があるため,患者から見ると効き目がさっぱりわからないようだ。しかし、我慢して飲み続けると,なんとなく楽になってくるようだ。したがって薬は飲み続ける必要がある。 また最近の欧米で行われた調査によれば,うつ病が治ってから抗うつ薬を一年以上飲み続けた人は,一年以内にやめた人に比べて,うつ病の再発が少ない結果となっている。つまり,うつ病が風邪のような一時的な病気というよりも,高血圧症や糖尿病といった,薬を持続的に飲み続けることで予防可能な,体質が大きく関係する病気だということだ。大切なことは,うつ病の本人はどうすることも出来なくなるため,周囲の家族・友人等が,ちゃんと面倒を見てあげなければならない。そして環境の不安面があれば取り除き,休息をしっかり取らせ,必ず病院にいって診断を受け,薬をもらうことだ。本人にとっては,癌などの悪性疾患を含めた全ての病気の中で,最も苦痛とも言われているのだ。自殺で亡くなった人の7割にうつ病が存在し,うつ病の約1割は10年以内に自殺するというデータもある。私たちは今の時代を考えるとき,この病気についてよくよく考えねばならない。
★精神医療を受けるための場を大きく分けると、「精神科病院」「総合病院」「精神科クリニック」の3つに分類される。
精神科病院:日本の36万の精神科病床のうち95%を占める。入院患者の約6割は統合失調症であり、残りは痴呆、アルコール依存症のようである。治療環境は欧米の一流施設に劣らないにもかかわらず、精神病院不祥事というのも後を絶たない。これは病院という組織は閉鎖的な性質を持っていることに起因すると云われる。特に患者が統合失調症の場合は病院側と患者のコミュニケーションがまったく取れない状態で治療を進めざるを得ないため、強制的な医療の色彩が現れて、病院側の人権感覚がずれるという問題が発生するようだ。
総合病院精神科:精神科専門病院は世間の偏見があってかかりにくいが、総合病院であればかかりやすいというメリットがある。しかし精神科の病床数がすくなく、様々な患者に対して対応しきれない現実があり、経済的に成り立たない現実がある。総合病院の精神科は軽い精神障害の急性期の治療をイメージしているといえよう。
精神科クリニック:精神科医が一人でやっており、入院設備はなく、外来だけであるから重症なケースは対応不可能である。しかし非常に小回りが利くというのか、総合病院よりも更に気楽にかかれる利点がある。
心療内科クリニック:日本以外の国では心療内科なるものは存在しないという。日本においてのみ、心療内科という専門家が「心と体」を両方見るもの。心は心、しかし実は日本の法律では医者は何科であろうと自由に名乗ることが出来るようだ。実は心療内科のクリニックの80%は実は精神科医であるともいわれている。
以上です。
ありがとうございます。
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